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クララ・シューマンの結婚問題

 1837年8月、ライプツィヒに戻ったクララは8月13日に2年ぶりに公開演奏会を開くことになった。クララはプログラムに、ロベルトを忘れていないと宣言するかのように彼の交響的練習曲を入れた。演奏会場には当然ロベルトも来ていてクララの演奏に陶酔し、彼女の勇気に応えなければと決断した。演奏会が終わると、ロベルトは禁じられていた手紙を書いて、共通の知人に託した。そこにははっきりと僕の妻になってくれと書かれていた。翌14日、クララから承諾の返事が届いた。この日を二人は後に婚約記念日とした。この頃には二人の仲をとりもとうと手紙を仲介する共通の知人がいたのだ。ロベルトはクララの18歳の誕生日に、本人と父ヴィークに結婚を正式に申し込んだ。ヴィークはついにシューマンと直接会うことにした。ヴィークは莫大な金額を提示し、それを用意できなければ結婚は許さないと言った。 

 この結婚問題は後に法廷闘争へと発展し、最終的にはロベルト・シューマンとクララ・ヴィークが勝ち、フリードリヒ・ヴィークは敗北する。歴史は勝者の視点で書かれているので、たいがいの音楽史に於いては、ヴィークは娘を食い物にしようとして手放さない強欲な頑固親父として描かれる。

  確かに、フリードリヒ対クララの親子の対立として考えた場合、今日の視点ではクララに正義がある。彼女は自分が愛する人と結婚したいだけなのだ。親ならば娘のために教育を授けるのは当たり前だし、娘が好きな人と結婚するのを妨害するなどもってのほかだ。  しかしフリードリヒ・ヴィークは音楽家クララ・ヴィークのマネージャーでもあった。クララがロベルトと結婚することは、現在の日本社会でいえば、タレント「クララ」が「ヴィーク音楽事務所」から「シューマン音楽事務所」へ移籍するようなものである。ヴィーク音楽事務所としてはクララを売れっ子にするまでにはかなりの投資をしており、それは将来のリターンを期待してのものなのだから、これから儲けようという時期に移籍を了承する訳にはいかない。クララの結婚問題は「父子のねじれた愛情によるトラブル」の側面もあるが、「有名音楽家の興行権問題」でもある。

  ヴィークは資産も安定した収入もない男に娘はやれないという親心からも、ここまで金をつぎ込んで育成し、これから稼げるタレントを簡単には手放せないという音楽興行師としての野心からも、絶対にクララとロベルトの結婚を許すわけにはいかない。

  この時点でのシューマンは、売れない音楽家である。同年代のショパンは楽譜が売れている。リストは演奏会で稼いでいる。メンデルスゾーンはもともと資産がある上にオーケストラの楽長というポストもある。ワーグナーも歌劇団の楽長である。シューマンだけが売れない音楽家なのだ。

  シューマンの側にクララと結婚すれば彼女が稼いでくれるという打算があったかどうかはわからない。だがエルネスティーネに資産がないと分かると結婚から引いてしまったことも合わせて考えれば、シューマンにとっても経済と結婚とは別問題ではないだろう。実際、結婚後もクララは8人の子を出産しながら演奏活動を続けて家計を支えた。シューマンの曲はそれほど売れなかった。クララの収入なくしては、ロベルト・シューマンは音楽家としても音楽評論家としても活動出来なかった。

  現在であれば、結婚後もクララが父をマネージャーとして活動する選択肢もあるだろう。しかし当時は女性の人権が確立されていない。男女平等ではないので、結婚したら女性はその財産も含めて夫のものとなる。

  クララだけが愛に生きようとしていた。そしてクララだけが冷静である。父と恋人との関係修復が不可能と悟ると、彼女は冷却期間を置くことをロベルトに提案した。結婚を延期し、当面は音楽に生きると父と恋人の双方に伝えたのだ。二人は、第3者のいる中立的な場であれば会うことも許された。また、クララが演奏旅行に出ている間に限ってはロベルトが手紙を出すことも許された。二人の遠距離恋愛はさらに2年続くことになる。


チェリーピアノ(松崎楓ピアノ教室)釧路市のピアノ教室

大学時代はパイプオルガン科に進み、卒業後は音楽学校でラウンジプレイヤー養成・ピアノ科で学ぶ。ピアノ講師に就いた後、北ドイツのハンブルグに留学し、ヨハネス・ブラームス音楽院ピアノ科を卒業する。世界三大音楽院のモスクワ音楽院のピアノマスタークラスを修了し、イギリスのトリニティ音楽大学の演奏グレードを取得し現在のピアニスト活動に至る。作間洋子、水垣玲子、エレーナ・リヒテル、岳本恭治、岩崎洵奈に師事した

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